人間も動物ですから、いつかは死がおとずれます。死は人間にとって最も悲しみの深いものでした。
 縄文人が死をどのようになげき悲しみ、死者をどのようにほうむったのか、彼らが残した死者のほうむり方から知ることができます。

 今からおよそ4000年前、青森県を中心とした東北地方の北部だけで行われていた、特殊な死者のほうむり方を紹介しましょう。
 まず、最初に穴をほり、その側面や床に平らな石をおき、箱状にします。

 石はムラ人みんなで、近くの河原や山から運びます。石の重量が3トンになることもあります。
 死者は石棺(せっかん)の中に入れられ、平らな石でふたをします。

 遺体をおよそ1年近くそのままにし、肉がくさるのをまちます。そして、骨だけになったころをみはからって、石のふたを開け、中から骨を取り出します。

 石棺墓(せっかんぼ)に遺体をうめている間に、骨を入れる専用の大きなカメを作ります。
 そして、取り出された骨はていねいに洗われ、頭の骨を最初に、次に手足の骨、最後に小さな骨、と大きなカメの中に入れていきます。

 カメはふたをされ、ムラの中の墓地に穴をほって、ていねいにほうむられます。

挿し絵は沼宮内久美子さんによるものです。


ホーム