第11回  八戸市是川(これかわ)遺跡(縄文晩期)

 遺跡は八戸市の南部を流れる新井田川の左岸に位置し、標高15mの緩やかな傾斜地にあります。この遺跡が世に知られるようになったのは、大正9年に泉山岩次郎・斐次郎兄弟によって発掘されたのがきっかけです。
 遺跡の泥炭層からは赤漆塗りの弓や赤漆の飾り太刀、ヘラ形木製品などの植物質の遺物が腐敗しないままで数多く出土しました。その豊かな内容と高い技術力は、学界はもとより、現代工芸家をも驚かせました。このほかにも、土偶、岩版、土版、石棒などの儀式に関係する遺物が多量に出土しており、当時の人々の精神生活を現代に伝えてくれます。
 遺構については、昭和49年の発掘調査で、配石墓1基、土坑13基(後期〜晩期)が検出されていますが、竪穴住居跡がまだ発見されず、集落の状況がまだ明らかではありません。
 昭和32年に国の史跡に指定され、同37年には出土遺物の内633点が国の重要文化財に指定されました。 

遺跡遠景
赤色漆塗土器群
遮光器土偶の体部
石刀

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