今年も「青森ねぶた祭り」が始まりました。8月2日から7日までの、正味6日間の短い夏祭りです。言うまでもなく、ねぶたのだいご味は市中を練り歩く正式な運行にあります。しかし、見物席からはねぶたが遠く、私の「貧乏カメラ」には収まらないと言う制約があります。その点、8月1日に行われた前夜祭では、間近でねぶたが見られ、案内人のデジカメにもその雄姿を十分収めることができました。

 23台の大型ねぶたの中でも、案内人の目を引きつけたのは竹浪比呂央さん制作の「縄文幻想」というねぶたです。その制作意図は「縄文時代晩期(今から約二三〇〇〜三〇〇〇年前)東北北部に極めて高度な技術を持った文化があった。亀ヶ岡文化といわれるものである。その中心である亀ヶ岡遺跡は、日本海岸七里長浜と津軽平野の間にある屏風山の一角をなす、青森県木造町舘岡丘陵に所在する。ここは江戸時代より知られており、元和(げんな)八年(一六二二年)津軽二代藩主信枚(のぶひら)公がこの地に築城を計画、工事を始めたところ多くの土器類が発見され、さらに「永禄日記」には瓶が多く出ることから「かめがおか」の地名の由来があると記されている。また、当時この珍しい出土品が江戸・長崎・遠くオランダにまで輸出されたという記録も残っている。この遺跡からは、漆塗りの装飾性の高い土器・石器・骨角器を始め、人々が生と死、病気やけが、天災などによる恐れや不安を解消すべく、呪術やまつりを行い(ねぶたの場面)その祭祀具の一つとされる土偶や土面も出土している。中でも容貌がイヌイットの日よけメガネに似ているところからその名がついたとされる「遮光器土偶」は学術上世界的にも著名である。華美な文様と精錬された芸術的な造型感覚、進んだ技術に裏打ちされた文化と呪術の根強い社会は、まさに約一万年をかけて発展した日本の縄文文化の到達点といえるのである。先人の高度な文化レベルを想像し、二十一世紀を迎えた今、我々も新たなエネルギーを世界に向けて発信してゆきたいものである。」

 作者の竹浪さんは、細かなところを調べれば調べるほど、色々な疑問がわいてきて、どんどんのめり込んでいったと語っていました。細かい時代考証はさておいて、ねぶたの最高賞と言われる「田村麻呂賞」に一押しです。


▲-ねぶた全景

▲-ねぶたアップ1

▲-ねぶたアップ2

▲-土面1

▲-土面2

▲-石刀

▲−耳飾り・首飾り

▲−垂れ飾り

▲−足飾り?

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