今から約4000年前の環状列石で有名な青森市小牧野遺跡から、環状列石と同時期に造られた竪穴住居跡が初めて発見されました。

 発見された住居跡は1軒で、環状列石から東側へ約50mの地点で見つかりました。直径は約4mで炉とみられる石と柱を立てるための穴が見つかっています。また、周辺からは、食料を貯蔵したと思われる「フラスコ状土坑」や立石と「抱き石」を持つお墓なども発見されています。

遺跡周辺の地形図-50m等高線

竪穴住居跡

炉跡
各遺構の配置図

フラスコ状土坑

立石と「抱き石」をもつお墓

 今回の竪穴住居跡の発見について、村越潔青森大学教授(考古学)は、「これまで環状列石の建造に携わってきた人々がどこで生活していたか分からなかった。住居跡は他にもある可能性が高い」、と語っているという(東奥日報平成12年9月23日付け朝刊)。これまで、小牧野遺跡では環状列石と同時期の住居跡の発見にかなり重点を置いた調査を行ってきたにも拘わらず、なかなか発見できずにいました。村越教授が考えているように、環状列石と同一台地にそれを構築した人々の居住域が存在するとしたなら、かなり大規模な集落と考えられるので、これまでの調査で発見されて良いはずです。それが、今回、ようやく1軒だけ発見できたということは、小牧野遺跡とは別な地点に居住域を構えていたと考えるのが、自然なような気がします。青森市教育委員会文化財課の児玉さんは、「もし、環状列石の周辺に住居が1軒しかなかった場合は、環状列石や墓地を管理する施設だったかも知れない」、と語っているそうです(同前より)。案内人としては、児玉さんの考え方に賛成します。

 今回は児玉さんから住居跡と炉の写真を提供していただきました。この場をお借りしまして、厚くお礼申し上げます。また、小雨に煙る環状列石の動画をご覧になりたい方は、こちらをどうぞ。更に、地図ソフト「カシミール3D」で作成した、遺跡から見た360度のグルグル写真のシュミレーションこちらです。なるべく、小さい画面でご覧ください。(2000/10/19)
(このページにはQuickTimeが使われています。下記から入手していただくとブラウザで見ることができるようになります。)(2001/10/14再掲)


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