じょうもんじんとイヌ

 イヌは現代では、ペットとして一番の座を確保しているようです。それでは、縄文(じょうもん)時代はどうだったのでしょうか。国立歴史民俗博物館(こくりつれきしみんぞくはくぶつかん)の西本豊弘先生の研究成果をお借りして、調べてみることにしましょう。

約3500年前のイヌの焼き物

左の裏(棒をさしこめるよう穴があいている)
約3500年前のイヌの焼き物

左の裏(棒をさしこめるよう穴があいている)

 幼い犬の骨縄文(じょうもん)時代のイヌで、人間に食べられたけいせきのある骨は、発掘調査では出土していないそうです。しかも、そまつにはあつかわれず、必ずほうむられているそうです。大きさは、現代のシバ犬なみで、背丈が約40cmと小さいですが、狩りにむいた、たくましい筋肉(きんにく)につつまれていました。

(左の写真は死んだ子イヌをていねいにまいそうしたようすです。イヌを中央におき、黒土でおおい、その上にかいがらを並べています。) 

 狩りのきびしさを物語るように、5ひきに1ひきは背骨が曲がり、ろっ骨が飛び出しているそうです。たぶんカリエスという病気で年老いて動けなくなったと思われるイヌさえ、ていねいにほうむられていたそうです。

 解体されて食べられることの多かった弥生(やよい)時代以降のイヌは、骨が弱くて肉もぶよぶよだったそうです。それに比べると、縄文(じょうもん)時代の貝塚(かいづか)をほると、人とイヌの骨がいっしょに出てくることに見られるように、「友達関係」にあったのではないでしょうか。


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