青森県下北半島の陸奥湾(むつわん)にめんした町の一つに、川内町があります。平成3年〜4年にかけて青森県埋蔵文化財調査センターが熊ケ平遺跡(くまがたいいせき)の発掘調査(はっくつちょうさ)を行ったところ、約5000年前の「じょうもんクッキー」が2点出土しました。1点は住居跡(じゅうきょあと)から発見され、もう1点はその外からでした。2点とも外見はよく似ており、大きさは長さが約5cm、幅が3〜4cm、厚さが2〜3cmでした。青森県内で唯一(ゆいいつ)の貴重な資料です。中に繊維質状(せんいしつじょう)のものは認められず、粉状のものを固めたようです。  

 ある学者の研究によると、このような食べ物が炭状になったものが出土している遺跡(いせき)は、東日本の比較的内陸部に位置する遺跡に多いそうです。これは、クリやクルミなどの木の実が分布する地域とかさなり、興味深い意見です。ところで、どんな味がしたんでしょうね。

じょうもんクッキー1

じょうもんクッキー2

 じょうもん時代も1年をとおして、まんべんなく食べ物を確保することはかんたんではありませんでした。とくに、雪の降る地方では、冬の間、野山で食べ物を得ることほとんど不可能でした。そこで、その間、食べ物を保存しておく必要があります。じょうもん人が考え出した方法は、地面に深く穴をほって、そこに食べ物をたくわえておくことでした。今では、ほとんど行われなくなりましたが、20〜30年前までは、野菜などの保存によく使われました。こうすると、外気の変化とは関係なく、温度や湿度を一定に保つことができ、食べ物を長くたくわえておくことができるのです。実際にこの穴に食べ物を入れ、冬の間に実験したところ、外気温がマイナス10度以下の時でも、中は凍ることなく温度は2〜3度、湿度は82〜93パーセントという安定した結果がでています。さしずめ、じょうもん人が考えた「天然の冷蔵庫」といったところですね。

断面が「フラスコ」形の貯蔵庫

入り口をせまくし、ふたをしやすいようにする

               
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