その晩遅くなってからわが家に火事があり、近所の家まで焼けてしまった。警察では漏電だといったが嘘だった。ほんとはおれが机の引き出しにかくしておいた一匹の蛍が原因だった。
自伝的映画『田園に死す』で主人公にこのように語らせた寺山修司はまた『テープルの上の荒野』という歌集を作るほどに、「机」という言葉に限りない広がりを持たせようと試みたりもしました。そしてl983年5月4日、その寺山修司は、何もかもを机の引き出しに置き忘れたまま、自分の存在を不確かなものとして旅立っていったのです。
この記念館はそんな寺山修司を「探す」ことを展示構成の基本としています。詩に、短歌に、俳句に、映画に、演劇に、写真に、スポーツに、メルヘンに一。
旅立っていった寺山修司の足跡はさまざまなところにさまざまな形でたくさん残されています。みなさん、どうぞ「机の引き出し」を開けてみてください。
消えていった寺山修司を探してください。かつて、さまざまな所に寺山修司はいました.
寺山修司は多くのものに興味を抱きました。そして、これだけたくさんの足跡を残したのです。
これだけ多くのの足跡を残した寺山修司は本当に一人だったのでしょうか?本当に消えていったのでしょうか?いや・・・ (「寺山修司記念館」パンフレットより)
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引き出しを開け、電灯と懐中電灯で展示品を見る |
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展示室に入るとまず、木製の机が十数個並んでいて、「何?」と思わせる。机の引き出しにはテーマ別の展示品が並べられていて、机の上の昔風のスタンドの光と、懐中電灯で覗き見る仕掛けになっている。ある机の右側最下段の引き出しを開けると、寺山が作詞した小学校校歌の原稿があらわれ、その歌詞が聞こえてくる......。また、近くの沼を見おろす丘の上に小学校の同級生たちが中心になって建立した文学碑がある。三沢市の中心部からは結構な距離の所にあるが、寺山修司ファンには必見の場所かもしれません。
・休館日 毎週月曜日(祝日の場合は翌日) 年末年始(12/28〜1/4)
・入館料 一般530円 高大学生200円 小中学生100円 (団体割引有り-20名以上)
・問合先 寺山修司記念館 青森県三沢市大字三沢字淋代平116-2955
TEL.0176-59-3434 FAX.0176-59-3440