夏休みを利用して久しぶりに小牧野遺跡に行って来ました。春先の草ぼうぼうとうってかわって、きちんと整備されていました。4000年前の当時の姿がそのまま見られると言うことは、本当にすばらしいことだといつも感激してしまいます。環状列石の中心部を農道が横切っているのですが、今年中についに振り替え道路が作られるとのこと。もちろん、その前に発掘調査が行われます。その暁には、何の障害物もないまっさらな小牧野遺跡を目にすることができるようです。遺跡の入り口には、ご覧のように小さなプレハブが1棟、ぽつんと建っています。見学者のための「ミニ資料室」です。全国には「官立」の遺跡資料館がたくさんあり、これ見よがしにその偉容を誇っているものもあるそうですが、案内人には小牧野遺跡のような手作りでぬくもりを感じさせるような資料室が一番です-「ウサギ小屋」の住人とすれば、我家よりもやすい予算で建てられているというところに「優越感」を感じます-これって、かなり屈折してますね。中にはパンフレット類や遺跡の調査風景写真などがさりげなく配置されています。見学者の感想を記せるノートが2冊置いてあり、そこに見学者の方々のあつい、あつい思いが書きつづられていました。

 今年の発掘調査は7月の末に始まったばかりで、まだ表土をはいでいる段階です。当日はたまたま、青森県立田子高校の生徒さんが4名、体験発掘にやってきていました。ベテランの作業員さんから厳しい指導を受けながらも、汗を拭き吹きがんばっていました。小中学生の体験発掘は珍しくもないのですが、高校生が参加するのは希有なことです。体験から何かをつかんでくれたらいいのですが。

遺跡西側

遺跡東側

高校生の発掘風景

遺跡そばの栗の木

「ミニ資料室」

「ミニ資料室」の入り口

「ミニ資料室」内部

見学者の「あつき思い」

 遺跡をあとにし、環状列石の供給源といわれる遺跡東側を流れる荒川を「探検」してみることにしました。

 
(イラストはsatoko.yさんです)

 上の図でわかるように、遺跡と川とは標高差にして73mあり、直線距離で460m、道のりで470mあります。川に降りてみると流れの中には、大小の石がゴロゴロしています。小牧野人は石を選ぶに苦労はしなかっただろうな、と思いました。環状列石は総数で2200個以上、総重量で27トン、最大重量約500Kg、最小重量0.1Kg、平均で約12Kgという研究結果が青森市教委から出されています。これらの石をすべて人力で運んだところに小牧野人のすごさがあります。ましてや、上図に見られる急斜面を運んでいったわけです。「モッコ」のようなもので数人で担いで運んだのでしょうか?その姿を想像するだけで、わくわくするものがあります。夏に運んだとすれば、今でも川底が透き通って見えるほど透明度の高い川の水で乾いたのどを潤していたのでしょう。この斜面途中には、湧水があり、ここで生活用水を確保していたのでしょうが、荒川の水もさぞかしおいしかったのではないでしょうか。現在でも青森市の一部の地域の水道水は、ここ荒川から取水されていて、そのおいしさは全国で5本指に入るそうです。(我が家の水道水も実はここが取水源で、アサヒビールのスーパードライよりもおいしい!-なんのこっちゃ!-津軽地方のH市の水道水とは雲泥の差。首都圏の方々には申し訳ありませんが、まったく、比較になりません。学生時代に初めて東京の水を口にしたとき、あまりのまずさにはき出しそうになりました。21世紀は「水戦争の世紀」といわれています。大都市にあんなに多くの人間が住んで、水の確保は可能なのでしょうか?。関西の淀川水系では下水道の処理水排出の下流で、別な自治体が上水道のための取水をしているそうですが本当?青森市内では水タンクからではなく、直接、水道管から冷たくておいしい水-それも折り紙付きの水-がふんだんにでてきます。人間の体の7〜8割は水?おいしくて、浄水器を通す必要のない水がふんだんにある青森市に住んでみませんか! そう、青森市は私の記憶だと少なくともここ10年以上も給水制限がありません。)青森市はここ小牧野遺跡周辺を原風景を生かしながら、遺跡の整備を進めるそうです。遺跡を生かすことが、最終的にはそこのすんでいる住民の生活環境をも保護するという好例がここにはあります。遺跡の保護は、ややもすると一部研究者や埋文関係者の「エゴ」ではないかと誤解されている部分もありますが、地域の自然環境をも保護しているという側面も強調したいものです。


荒川の流れ-遠くに八甲田山系

手頃な大きさの石

急流
 

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透明度の高い水-おいしそう!

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